2008年10月25日

とりあえず原作を買って帰ろうかな

「容疑者Xの献身」をみてきました。
ついつい「献身Xの」と言ってしまう。「KENSHIN-X」て。和洋折衷のRUROUNIかよ。

友人カヅさんが、この映画のことをさして「X」とかいいやがったよと日記に書いたような気がしていたけど書いてなかったみたいなので書く。
確か駅のホームで電車に乗りこむときに、
「あれすごい人気みたいだね」
「なにが」
「X」
とかそんな会話だった気がした。
ポスターかなんかがあったからすぐ察したものの、友人ちえぞうとふたり、笑いをこらえるのがたいへんだった…さすが独自の略称をクリエイトすることにかけては追随を許さないセンスを持つカヅさんだぜ。

それはいいとして。
とりあえずねたばれない程度の感想。

鑑賞後の、ストレートな感情的感想。

「せつねえ…せつねえ~~!!!」

ちょっと気取ったかんじの感想。

「いやあ、よくできた映画だ」

かんたんに表すとこうでしょうか。

テレビシリーズだと、
「この世には不思議なことなどないのだよ内海君」
ていうような、一見オカルトめいた事件を科学的に解明していく、っていう色が強かったけど、映画はただただ不可解な事件を追究していくって感じ。いや、不可解じゃないな。難解というか巧妙というか。

おっとこれ以上は伏せようかねいちおうね。

なんだかんだと、こっちを映画化するためにテレビシリーズ作ったんじゃないかとさえ思えてきた。



作品的な感想。

堤真一だなあー。

奇しくも昨日の日記で話題にしたばかりです。

この時は、中禅寺とかSPとかの、知的でかっこいいイメージの堤真一でしたけども。


かっこわるかったぜぇ~

みすぼらしいというか。

初登場時、無精ひげはやして布団の中での半寝状態。狂気じみた胡乱な目。ラストの号泣のみっともなさ。

すごいねこの人は。なんかもう、この映画の主役この人じゃね?

しかしまあ、現実離れしたかっこよさの福山との対比もあってのことでしょうから、勿論主役は福山なんでしょうけども。いや、福山もよかったですよ。普段感情を表さない人の微妙な心情とか。頭のいい人演じるって大変だな。学者さんてのはみんなこんな孤独なのかね。

松雪泰子もよかった。久々に見た気がしたけど美人だね~

そりゃこんな人が隣に引っ越してきたら死ぬのやめたくなるわ。


地味な二転三転のどんでん返しがスリリングでした。とにかく「あああバレる! バレる~!!!」とハラハラしどおし。近くの席のカップル(?)が、細かいギャグが入るたびいちいちケラケラ笑ってて気がそげたけども。

こういう映画のときは途中絶対時計を見ないほうがいいですよ。


原作読んでないんですけど、映画にはちょうどいいボリュームでした。かなり忠実に映画化されたそうで。あのシーンやこのシーンをいったい文章でどう書かれているのか気になるので読んでみたいと思いましたよ。


「物語は必ずハッピーエンドでないと嫌だ」という人には向かない映画です。


でもね。

現実は、善意ばかりを持ち寄ったって、決してハッピーにはならないんだよ。


(↑あ、これいいね、ちょっとかっこいいこといった?)



お話的な感想。長いぜ。



東野圭吾の作品は一度も読んだことがなくて、「秘密」の内容とオチをちょっと知ってる程度なんだけど、今回のこれと「秘密」だけで判断するなら、すごくこう…人間の本性というものを知っている人なんだなと思う。善い面も悪い面も。

いわゆる推理モノとは違う部分での「トリック」の使い方がとても巧い。「裏切られた」と思っても、それを責めることもできない苦々しさ。自分に置き変えて考えてみると、自分もきっとそうするだろうと思ってしまうから。



石神さんの気持ちもとてもよくわかる。


何のために生きているか。

何によって生かされているか。


他人にはわからない。


ガラクタみたいなもののために莫大な金を払ったり、身を粉にして尽くしたり。

他人が見たら「バカだなあ」と思うような。

そういうものが誰しもあるはず。


仮にそれが人だったら。


その人のためにはどんな犠牲も厭わない。

その人のためならばどんなことでもできる。

自分や、自分でない誰かがどうなろうとかまわない。


わかるけど、行き過ぎれば「ただのエゴだ」ということもわかる。

本当に望んでいることならいいだろう。だが押し付けの優しさほど迷惑なものはない。

それを彼は知らなかった。


自分のために、自分が負うはずだった罪を誰かが背負っているなんて、普通の人間だったら堪えられない。ただでさえ、裁かれることのない罪を一生隠して生きていくなんて、きっと死ぬよりつらいことなのに。

それを彼は知らなかった。

なるほどたしかに、ラストの彼の号泣には、いろんな意味が含まれているんだなと。


なまじ彼が湯川をして「天才」と言わしめるほどの天才であったことが、この物語が究極まで悲劇になってしまった、のだろうと思う。

ただ死体処理を手伝うだけなら凡人にでも思いつくし、いずれバレるに決まってる。

隠し通すことがどれほど困難かわかっていたから、初めから保険をかけるしかなかった。

それが花岡親子に更なる罪悪感を科すことになるとは、彼にはわからない。


湯川にはわかった。同時に友人の気持ちもわかっていた。何をしたか、何を守ろうとしているか。

だから迷った。苦しんだ。

自分の決断ですべてが決まってしまうから。


それはまさに湯川が石神に投げかけた問題の答えとも言える。


『絶対に解けない問題を作るのと、それを解くのとではどちらが難しいか。ただし必ず答えはあるものとする』

さらに、この問題には、湯川が回答不能とした「愛」が含まれる。

むずかしいねえ。

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